「ゴーグル男の怪」著:島田荘司という本を読んで

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book28 ミステリー界の巨匠、島田荘司先生の本を読みました。
 「ゴーグル男の怪」。

 分厚い本で、最初は読み切れるかなーと不安だったのですが、読み始めたらさすがの筆致と引き込み力。
 私は本を読むうえでいちばん重要だと思っているのがこの「引き込み力」です。

 長い本で、退屈でページをめくるのも億劫な本ってありますよね。最近のダントツは話題になった経済学の本ですが。
 その逆に、読者を物語に引き込んでどんどん読ませてしまう物語もあります。

 長いページもなんのその。一気呵成に夢中に読ませてしまう……そんな読書体験こそ、本読みにとっての至福というものでしょう。

 島田先生の何がすごいかといって、その引き込み力なのです。おかげでずっと前からファンをさせていただいております。

 そして今回の本。
 これまた引き込み力抜群でした。……ただ、耳が痛い話でもありましたが……。

 これは、現実でもあった東海村の原子力発電所の事故をテーマにして書かれている推理小説です。
 もっとも推理というには名探偵も謎ときもほとんどありませんが。

 殺人事件があり、ゴーグルをつけている男が犯人と目され、なぜゴーグルをしているのかと言う話になり、犯人がつかまったあとにその事情を暴露しているので……はい、推理小説というには苦しいです。

 ただ、ゴーグル男が語った原子力発電所の内実については本当に胸が締め付けられました。
 福島の事故があった後なだけに、ひとしおです。

 この国の原子力はいったいどこにいくんだろう。
 そんな気持ちにさせられる一冊でした。